Ålands pannkaka

こちらはアフベナンマーのパンケーキ、という意味です。
以前、息子と購入した『Juniorkokki』という本から今日もお菓子を作ってみることにしました。
以前にもフィンランドのパンケーキ、パンヌカックについてはこちらでも紹介させていただきました。
そして、薄めのクレープタイプのレットゥについても、フィンランドのパンケーキのひとつとして紹介させていただきました。
しかし、子供料理本にはアフベナンマーのパンケーキについてのレシピが。
一体何が違うのでしょう?
アフベンナンマーについて
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日本語ではオーランド諸島と呼ばれていますが、アメリカのオーランドとは関係なく、Ålandsというスウェーデン語から来ています。
調べてみると色々複雑な歴史がある地域のようですね。スウェーデン領、フィンランド領、と揉めていた地域になります。
現在もフィンランド領でありながら、人口の86パーセントがスウェーデン語を話すスウェーデン系。
諸島と呼ばれるだけあり、6500もの島々がその地域にはあります。
そして上の地図からもわかるように、フィンランドとスウェーデンの間にある島。場所もスウェーデン寄りで40km、フィンランドからは100km以上離れています。
フィンランド?スウェーデン?

国旗もスウェーデンに近いです

早い話が、フィンランド領でありながら、限りなくスウェーデンに近い地域、というわけですね。
元々は、スウェーデン領であった領域です。しかし、スウェーデンがロシアとの戦いに負けたことにより、フィンランド領としてオーランド諸島はロシアに引き渡されます。
そして、フィンランドが独立した1917年。オーランド諸島の所属をめぐり二国間で緊張が高まります。スウェーデンに帰りたいオーランド諸島。渡したくないフィンランドという構図です。
フィンランドは1920年よりオーランドへ自治権を与えますが、まだスウェーデンに戻りたいオーランドさん。そこで登場したのがなぜか日本の新渡戸稲造さんが中心になって動いた連盟。
オーランドがフィンランドに返され、オーランド諸島の自治権の確定、という「新渡戸裁定」なるものが示されます。1922年、オーランド諸島は晴れてフィンランド領。それも、自治領として公認されたわけです。
自治権という甘い蜜

素敵なところですね、行ってみたくなります
現在ではフィンランドもオーランドをスウェーデン領に返すことを認めているようです。が、今となってはフィンランドから自治権を認められているオーランドさん。このままの居心地の方がいいようで、特にスウェーデンに戻りたいと意思表示はしていません。
自治権を認められているということで、EU加盟に関しても自分たちの方法を取っているようで。EU関税同盟なるものには加盟していないので、オーランドでの関税は非加盟国扱いになるという訳です。
なので、フィンランド人たちがオーランド諸島にこぞってお酒やタバコを買いに行ったりします。
そんなわけで、フィンランドでありながら、独自の地域性があるのです。
パンヌカックについてもその1つです。
こちら、スウェーデンのパンケーキに近いのでしょうか?
さて、本題のパンヌカックレシピはこちら。
オーランド風パンヌカック

アフベンナンマーのパンヌカック
Ingredients
- 1 L 牛乳
- 1 1/2 dL セモリナ粉
- 3 個 卵
- 1 dL 砂糖
- 1 dL 小麦粉
- 1/2 tsp 塩
- 2 tsp カルダモン
- 50 g バター
Instructions
- 大きめの鍋に牛乳を入れ、フツフツとするまで温める。煮立って来たらセモリナ粉を混ぜながら加え、約5分混ぜる。(ゆるめのポリッジくらいの固さに)鍋をコンロからおろしておく。
- 卵と砂糖をボールに混ぜておく。それを鍋の中に混ぜながら加える。
- 鍋に小麦粉、塩、カルダモンを混ぜながら加える。
- 出来上がった生地をクッキングシートを敷いた天板に流し入れる。生地の上にバターを小さく切ったものをのせ、200度のオーブンで50分焼く。
実際のところ、このレシピを作るのは初めて。なので、おっかなびっくりで作ったところもあります。
卵も熱々のところに混ぜるのは心配だったので、少し冷ましたものに、少量ずつ加えました。
以前のパンヌカックと違うところは生地にカルダモンが入っていることと、セモリナ粉。
セモリナ粉について
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セモリナ粉!フィンランド語ではmannasuurimo(マンナスーリモ)と呼ばれるものと知ったのも、今回が初めて。
マンナさんなるものは以前から知っていましたが、名前から、なにかコンニャクに関係があるものと思って敬遠していました。
フィンランドではvispipuuro(ビスピプーロ)と言ってポリッジとしても人気があルものの一つ。なのですが、聞いたことはあってもポリッジにそこまで熱い情熱もないので、食べたこともなかったです。
そして今回のレシピも、マンナさんが入っているので、作るのをためらっていたのですが、Google翻訳で調べてみればびっくり!
なんとセモリナ粉だったじゃありませんか。
日本にいた頃はパンを習っていて、聞いたことはありました。パンやパスタに混ぜるちょっとひと味違ったオシャレな粉、セモリナ粉というイメージだったのでびっくりしました。


セモリナ粉とは
セモリナとは、穀物を粉にするときにふるいにかけて得られる荒い粒の穀粉のこと。ふるいを通過した細かい粒、というか粉状のものが馴染みのある小麦粉になります。穀物というのはコムギ、イネ、トウモロコシなど。

セモリナ粉は主にデュアルコムギと呼ばれるコムギから作られたもの。そして、パスタ、シリアル、クスクスを作る原料となります。他にはプディングの材料にする国も。普通の小麦粉に比べ、黄色いのが特徴です。
このセモリナ粉、グルテンが強く、弾力性もあり、形が崩れにくいので成形に適している、ということでパスタに最適の小麦粉として知られています。
イタリアではパスタを作るときは100%セモリナ粉、と決まっているそうです。さすがパスタの国ですね。
フィンランドではパスタとして使用するよりもポリッジと使用することが多いです。その他に、今回のようにお菓子に混ぜてふわっとした食感を持たせるために使います。
フィンランド人が好きなビスピプーロもベリーとセモリナ粉を混ぜた後に泡立てる、という面白い作り方です。
今度試しに作ってみたいと思います。レシピもこちらに簡単にのせておきます。
ビスピプーロのレシピ

ビスピプーロ
Ingredients
- 1 1/2 L 水
- 4-5 dL リンゴンベリー
- 2 1/2 dL 砂糖
- 約2 dL セモリナ粉
- 少々 バニラシュガー
Instructions
- 鍋に水とリンゴンベリーを入れ、15分ほど煮立たせる
- ざるでリンゴンベリーを濾し取り、出来上がったリンゴンベリージュースを再び火にかける。ふつふつとしてきたら、セモリナ粉と砂糖を混ぜ5分ほど混ぜる。
- 少し冷ましたのち、泡立て器を使って泡立て、最後にバニラシュガーを散らして出来上がり。
ベリーは好きなもので作ってもいいですね。もしくは市販のベリージュースを温め、セモリナ粉を混ぜるのもありです。
パンヌカックのお味は
カルダモンが香り、セモリナ粉のざらっと舌に残る感じがクセになります。ざらっとした食感はイングリッシュマフィンを食べる時のような、もちっ、ざらっとした感じでしょうか?
通常のパンヌカックにはカルダモンが入っていないので、これまた新鮮です。
そして、上に散らしたバターがなんとも言えない塩味を生地にプラスして、しょっぱ甘い風味をかもし出していました。
バターが大きすぎたのか、出来上がった生地にはクレーターのような穴が。一度バターを溶かし、上に塗るのも味が均一になっていいかもしれません。それでも、しょっぱ甘い風味を楽しみたい方はバターを切って載せた方が、味の違いがはっきりわかるので良いかと。
オススメは泡だてた生クリームにいちごジャムですが、私は生地だけでも十分でした。
いつもと違うパンケーキが試したくなった方はぜひ、お試しください。
カルダモン入りのパンケーキの香りが部屋中に漂う週末の雨の午後。考えただけで幸せな気分になってしまうのは、私だけでしょうか?

本日もお付き合いくださった方々、ありがとうございました。
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