シマという名の飲みもの
ヴァップのお楽しみの飲み物はアルコールだけではありません(笑)ムンッキと一緒に飲むのはシマという飲み物です。と言っても、シマも低アルコール飲料で、ミード(蜂蜜酒)というハチミツと水から作られる発酵飲料が元。ミードのアルコール度数が3,5〜20パーセント近くあるのに対し、シマは約1パーセントとかなり低いです。それでもアルコールが入っていることは入っているので、アルコールゼロのシマも子供用に売られています。結局アルコールの一種、ですね。
シマの歴史
ミードの歴史は古く、約1万四千年前からあるとのこと。ウィキペディアによると、狩人がクマなどに荒らされて落ちた蜂の巣にたまっている雨水を飲んだのが飲んだのが最古の飲酒だという事です。時代とともにワインやビールと入れ替わって飲まれなくなったお酒ですが、現在でも、東欧やロシアを始め、アフリカや中米に至るまで幅広く飲まれています。
フィンランドへのシマ伝導
そしてフィンランドへのミードは1500年代に伝わってきます。しかし、ハチミツが高価だったため、はじめは上級階級のサマードリンクだったよう。当時のアルコール度数は17パーセントくらいだったとのことです。
1700年代にはアルコール度数が低くなり、1755年にはシマのレシピがカイサ・ワルグCajsa Wargにより料理本に記載されました。その中でヴァップと関連づけられたのがヴァップとシマのつながりの始まり。1800年代になり、シマがブラウンシュガーから作られるようになってからは一般の労働階級にも身近な飲み物として広がりました。サマードリンクとしてキオスクやカフェでも飲めるようになったというわけです。

1800年代後半になり、労働階級の日常的なアルコール使用(蒸留酒などの高濃度アルコール)についてが大きな問題となりました。コトカから始まった飲酒ストライキが、7万人のアルコールストライキに広がりました。そしてついには、1898年のヴァップにもアルコールデモ行進が行われます。そして、蒸留酒の代わりに登場したのが!アルコール濃度の低いシマだったというわけです。そこからシマとヴァップは切っても切れない関係となったようです。フィンランドでのアルコール使用は今昔変わらないようですね😅。
シマは何からできている?
現在のシマの原料は、水にレモン、砂糖、イースト(酵母)にレーズンを混ぜて発酵させます。レーズンの代わりにベリーを使ったり、砂糖も黒糖を使ったり。ハチミツ、シロップなどなどいろいろなバージョンがあるようです。気になるお味は、というと甘すぎない微炭酸飲料、マイルドレモネードという感じでしょうか?見た目は茶色ですが意外とスッキリ、爽やかな味がします。
自分自身は一年に一度、ヴァップに飲む以外は飲むことはありません。それでも、この前ムンッキと一緒に飲んだところ、爽やかで美味しかったです。甘さも炭酸も控えめなので冷たくして飲む方が美味しく感じます。ヴァップの時期になると、これまたところ狭しと並ぶシマ。しかしながら、家庭でも作ることができます。これを読んでシマ、という飲み物が気になった方はお試しください。レシピはこちらです。
シマ sima レシピ

シマ sima
Ingredients
- 4 dL 水
- 250 g ブラウンシュガー
- 250 g グラニュー糖
- 2 個 レモン
- 1/2 tsp ドライイースト
- 適量 レーズン
Instructions
- 半量の水を鍋に沸かす。レモンは皮をむき、6等分くらいに切る。砂糖とレモンを湯の中に加え、砂糖が溶けるまで混ぜる。
- そこに残りの水を加え、人肌程度の温度まで下がったところでドライイーストを加え、溶けるまで混ぜる。フタをかぶせ、室温で24時間放置する。
- 煮沸したビンに小さじ1(分量外)のグラニュー糖、レーズンを何粒か入れる。前日に用意した液をザルでこし、ビンの中に入れる。シマが出来上がる過程でガスを発生するのでフタは緩めにしておき、たまにフタを開けてガスを抜くようにする。
- 室温で3日ほど、冷蔵庫では1週間ほどで完成。中に入れたレーズンが上に浮いてきたら出来上がりの合図です。出来上がってからは冷蔵庫で1週間ほど保存できます。
こちらのレシピで使用するのは生イーストですが、日本では一般的ではないのでドライイーストレシピを引用させてもらいました。生イーストを使う場合は大さじ1/4とのこと。ブラウンシュガーはシマに色づけするものなので、量は加減しても良いようです。砂糖についてはコメントで甘すぎるという意見もあったので、こちらも加減しても良さそう。レモンは白い皮までむくとえぐみが強く出ないよう。お好みでレモン汁を加えても◎
ブラウンシュガーは砂糖にサトウキビから抽出されたシロップを混ぜたものです。日本で言うとふんわりしっとりしたきび砂糖、三温糖がそんな感じでしょうか?黒糖、テンサイ糖などでも色が付くので代用可能かと思います。写真がわかりにくいのですが、グラニュー糖のようなサラサラではなく、上白糖のしっとりさがある茶色の砂糖です。
アルコールが発生する過程でガス(二酸化炭素)が発生します。中に入れたレーズンがガスを含んで上に浮かんでくるのが出来上がりの目安というわけです。出来上がってからはフタをしめても大丈夫です。
他にも色々バージョンがあるシマ
現在では伝統的なシマだけではなく、ベリー、ライム、ざくろ、オレンジ、ルバーブ、ハーブなどとにかく種類は様々。生姜を使っているものもありました。アレンジいろいろですね。特にコロナで外に出かけられなくなってからは自分でオリジナルシマを作ろうという人も増えたようで、今はレシピを見ると種類はとても豊富です。残念ながらフィランド語のページしか見つけられなかったのですが、こちらからアレンジも楽しめます。シマの歴史もこちらDan Sukkerのページ、を参考にさせてもらいました。

我が家のシマはこちら。FingerPoriという旦那の好きなマンガ?のシマで、アルコール度数が5パーセント。大人のシマです。お味は、というと。甘かったです。この前はムンッキと食べたから美味しく感じたのか、今日は1杯で十分でした。残念!
気になるヴァップのお天気は。今年も期待を裏切らない寒い、雨パラパラの1日となりました。残念ながら、ヴァップはいつもそんな感じです。ヘルシンキでは帽子をかぶってピクニックをしている人たちで溢れているのかなぁ。ハメーリンナのスーパーは、ちらほら学生帽をかぶってお買い物をしている人がいました。
今日も最後までお付き合いいただきありがとうございました。日本はまだ連休中なのですね!良い連休をお過ごしください😍
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