こちら改訂版です
こちらも以前書いたブログですが、写真が使えなくなったので再度編集させていただきます。
それは、ルシンダ・ライリーの『セブンシスターズ』シリーズ。日本語でも最初の2冊が『蘭の館』、『影の歌姫』として創元推理文庫から出版されています。
彼女の代表作となる『セブンシスターズ』が誕生したエピソードは、こちらです。もう1人のお気に入り作家、エリー・グリフィスのブログでも書かせていただきましたが、もう一度。
2013年のクリスマス。ルシンダはキッチンのドアに立ち、夕ご飯を考えていたそう。その時に目に入ったのが空に輝くプレイアデス星団。そこから『セブンシスターズ』のインスピレーションがビビッときたそう。

そのアイディアをすぐに家族に伝えようと呼んだものの、来たのは犬のみ。そのあとメンバーが集まりますが、家族の一番の関心は⎡それはいいけど、今日の夕ご飯はなに?⎦だったそう。そこから世界的な大ヒット作品が誕生したわけです。
その夜みんなが寝静まった後、ルシンダは『セブンシスターズ』のコンセプト、イメージを紙の上に記します。
『セブンシスターズ』の凄いところ
イメージを書き、描き記したと言っても7人姉妹の話です。

1冊の本に対して1人の姉妹の話になっている上に、7冊の本が同時進行しています。なので、例えば長女と次女が電話とするシーンがあるとします。もちろん、長女の話の中で出てきます。その電話の話は次女の話にも繋がっていて、つじつまが合っているのです。もしくは謎が解けていくのです。そういう小さい謎解きシーンがこの物語には多く隠されています。
ルシンダの凄いところは、今までの7冊の本はそういった些細な出来事がうまく合わさって、絡み合った糸がほぐれていくように話が進むところです。3人くらいならまだしも、7人の細かな感情の動きなどがうまく他の本ともリンクしているのです。よっぽど賢い人でなければこんなことはできない、と何度も思いました。
『セブンシスターズ』ってどんな話?
本の題名のとおり、7人姉妹の話です。
でも、血の繋がりはありません。養父であるあるパ・ソルトが世界の至るところから親のいない娘を引き取り、自分の家であるレマン湖に浮かぶ豪邸アトランティスで育てるのです。そこには、母親の代わりになるマリナという女性もいます。しかし、この女性も娘たちを育てるために連れてこられたこられた血の繋がりのない母親。その守られた環境の中で6人の娘たちは成長し、巣立って行きます。

え?セブンシスターズなのに6人?そうです、7人目の養女は結局現れなかったのです。
7冊目の『ミッシング・シスター』は6人の姉妹が7人目の娘を探す話なのです。

え?パ・ソルトに聞けばいいじゃない?
いやいや、この本の一番初めのシーンは長女マイヤが父の訃報を受け取るところから始まるのです。
『セブンシスターズ』のはじまり、はじまり
このパ・ソルト、また凄い人で自分がこの世を去る前に6人の姉妹に遺書をそれぞれ残します。その中には父からのメッセージと、娘たちの出生の鍵をにぎる思い出の品が入っています。さらに、その他に彼女たちがどこで見つけられたのかという地図の暗号も渡されるのです。


娘たちは父、パ・ソルトと母、マリナに愛されて育ったので、本当の家族はいらない、知りたくないと思います。しかし、何かのきっかけをもとに自分探しの旅に出発するのです。
家族に愛されて育ちながらも、どこかが満たされていないと感じている姉妹たち。本当の家族の歴史を知ることで、人生の転機点を迎えます。本当の自分の姿に向き合った時、彼女たちの選ぶ道とは?パ・ソルトが望んだ彼女たちの幸せとは?真実を知った姉妹たちは、1人の女性として自分の人生を歩き始めるのです。
どうでしょう?気になる話ではないでしょうか?
日本語版『セブンシスターズ』
日本語では1冊目と2冊目が上下巻で出ています。一冊目が『蘭の館』、2冊目が『影の歌姫』です。
長女マイヤの生い立ち
長女マイヤが父の訃報を聞いたのは休暇中に滞在していたロンドン。6人姉妹たちがレマン湖に集まると父、パ・ソルトはすでに水葬された後。娘たちは何故?という絶望の中、父からの遺書と手紙を渡されます。その他に、地球儀の指標とメッセージ。長女マイヤの指標の先はブラジルのリオ・デ・ジャネイロでした。マイヤが向かったブラジルの蘭の館の先に待ち受ける真実とは。

次女アリーの出生の秘密
次女アリーはプロのヨット選手。ヨットの試合の合間に最愛の恋人と一緒に地中海でのバカンスを楽しんでいました。そこで突然横に現れたのは父の豪華ヨット。アリーは父の名を呼び、ヨットを追いますが、ヨットは逃げるように去って行きます。嫌な予感がし、携帯に電源を入れると、そこには姉マイヤからの伝言が。信じられない現実が彼女を襲います。父の訃報から前に進もうとするアリーにさらなる悲劇が襲いかかります。絶望の中でアリーは指標の示すノルウェーに向かいます。そこで待ち受ける彼女の出生の秘密とは?

気になる続きは…
日本語で出ているのは残念ながら2冊目まで。3冊目以降が気になる方はリクエストあれば紹介させていただきます。
個人的には4冊目の話が一番好きです。4冊目の舞台はオーストラリア。アボリジニーの歴史やエアーズロックの話を想像するだけでワクワクしてしまうのは私だけでしょうか?それに合わせて4人目の姉妹のキャラクターも魅力的。

6人の女性の話なので自分のお気に入りの姉妹にも出会うはず。それだけでなく、姉妹たちの歴史の中出てくる女性たち、恋に落ちる男性たちもまた素敵です。悲恋も多くあり、涙なしでは読めない作品になっています。
最後に
パ・ソルトの示す旅行先はバラエティー豊かで、コロナで旅行ができない日々には読んでいるだけでなんとも言えず幸せでした。7人の姉妹の行く先も北はノルウェーから南はオーストラリアまで。最後の一冊パ・ソルトはどこに行くのでしょう?ルシンダの景色の描写も美しく、自分も姉妹たちと一緒に旅をしているような気がしました。
『セブンシスターズ』の改訂版を書き始めて、この小説が、そして作家のルシンダ・ライリーが、いかに好きだったかも再び確認しました。書きながらシーンの数々を思い出し、興奮して眠れなくなってしまいました。
『セブンシスターズ』から学んだこと

この小説は7人姉妹だけの話だけではありません。姉妹が出会う歴史上の女性たちも、それぞれの時代の中で自分らしさを求め、強く生きていきます。彼女たちの生き様を読んで、これまた今の自分のままでいいのか?と考えさせられる作品でした。
自分自身、何も不自由ない生活を送る中、ついつい時間に流されて日々を過ごしていることに気づきます。たまには、立ち止まって本来の自分に向き合ってみることも必要なのかもしれません。
本日も最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。このブログを通じて『セブンシスターズ』に興味を持った方、一緒に自分探しの旅に出かけませんか?きっと新しい自分に出会えるはず(笑)。私はまだ模索中ですが。